2006 / SCE / London Studio /PSP
北米版PSPソフト「Gangs of London」を紹介!
PSPでも箱庭ゲームが出来る!本家本元「Grand Theft Auto Liberty City Stories」と時を同じくして発売された渾身のロンドン版GTA…しかし!その正体は本家の足元にも及ばない超チープな箱庭ゲームだった!
クソゲーって言うなよ!
2006年に発売された本作は、携帯ゲーム機では珍しい箱庭系ゲームの一本です。こういう言い方をすれば聞こえは良いですが、実際はステージクリア形式のアクションゲームで、ミッションの合間にちょっと街をうろつける位なので、自由度はほぼ無いに等しいです。
まず始めにプレイヤーは操作するギャングを5チームから選択するのですが、この5チームはロンドンの各主要都市を仕切っており、見た目や装備が違ってきます。というか見た目や装備しか違いません(笑) 選択したチームでゲームを進めていくのですが、どのチームを選んでもストーリー部分の絵が変わるだけで、ミッション内容なんかはほぼ同じという完全なる水増し仕様(笑)
どのチームが正解かは分からないのですが、チャイニーズ系ギャングの「水龍(ウォータードラゴン)」のクールさにはやられましたね。中華包丁は反則だぞ!
ギャング・ウォーズ
ゲームの目的は各地に散らばる敵対ギャングをシメること…やはり血で血を争う白兵戦は避けられないのだが、もちろんこの戦闘シークエンスもチープ感マックスなのです。
全ての曲がり角の先に待ち伏せしている敵、無意味なガードボタン、オブジェクトに引っかかりまくる(車もな!)等々、クソゲーハンター大満足な作りに納得のメタスコア52点の本作。そもそも「武器はミッション開始時に所持しているもの以外使用不可能」という時点でやる気をなくしてしまいます(笑) 素直に倒した敵から拾わせてほしいものですね。ロンドンのギャングは自分の武器に名前でも書いてあるのでしょうか?きっとそうでしょう。
まぁ応急措置として、仲間が一緒な場合のみ○ボタンで操作するキャラを変えられるので少しはマシになります。全員が打撃武器とかなら意味は無いのでさっさと突撃しましょう。
リーサルウェポン
正直、ここまでで良い所が一つも無い「Gangs of London」。
クソゲーが好きなら十分魅力的なゲームであるとは思うが、それにしてもお粗末な出来には変わりありません。GTAの自由度を期待して購入した人が何人いたでしょうか?二番煎じ、いや、もう全く煎じきれておらず薄いことこの上ないストーリーモード、やはり厳しいものがあります。
では何故そんなゲームを取り上げたかというと、答えは簡単です↓
ゾンビモード搭載
このシュールでチープな画面!はい最高!
もうこれだけで「Gangs of London」に対する評価がマイナスからプラスになりましたね(笑)
そうなんです、本作は本編以外に収録されているゾンビモード、その名も「FOUR WEEKS LATER」が意外にイイ感じの出来で面白いのです!最終兵器のゾンビモード!紹介しよう!
ロンドンゾンビ紀行
某ゾンビ映画よろしく4週間後という名の付いた「FOUR WEEKS LATER」モードは、全8レベルのゾンビハントモードとなっており、ロンドンのアスファルトから這い出てきたゾンビどもを片っ端から退治していきます。
最初の方のレベルは「ゾンビ30体殺せ!」とかなのですが、途中からは「ギャングのボスがゾンビにやられている!至急車で応援に向かえ!」などの変化球も登場し、ちゃんと箱庭ゲームたるアイデンティティも盛り込まれているあたりにグッときました。
また、ほとんどのレベルで仲間が戦闘に参加してくれるのですが、毎回遅れて登場し「助けに来てやったぜ!ブラザー!」的な演出もナイス。あまり役に立たないのはご愛嬌ってことで(笑)
この見るからにチープなゾンビモード、最高ですね。
大量すぎるサブモード!
上記のゾンビモード以外にも様々なサブモードが収録されており、メニュー画面での「FREE-ROAMING」から選択できます。収録されているのはフリーモードの「FREE DRIVE」を筆頭に、警察とのチェイス「GETAWAY」、ゾンビモードの警察版「RIOT CONTROL」などなど充実の6種類。
中でもハイセンスなのが「LONDON TOURIST」モードで、カメラ片手にロンドンの街をただ観光するだけのシュール極まりないモード(笑)しかもプレイヤーとなるのは”アメリカからの観光者”という設定なので見た目が、アロハシャツに短パン、ビール腹という西海岸スタイルで非常にクールなモードとなっているのです。
さらにメニューで「THE PUB」を選ぶと今度はミニゲームを遊ぶことができ、その種類も「ダーツ」「ビリヤード」「スキットルズ」「アーケードゲーム」という豊富さ。
スキットルズはボウリングの原型といわれている棒倒しゲーム、アーケードゲームはその名のとおりビデオゲームですが、かなりオールドスクールでATARI2600などのゲームを彷彿とさせる作りが妙にイカしています。
アーケードゲームはレベルごとにルールが様々で「全てのブロックを取る」や「壁にぶつからないようにする」などの極めて原始的なものばかりですが、逆に新鮮で難易度も程よく高く意外と楽しめました。画面にノイズやチラつきが演出として施されており雰囲気作りも完璧です。
そしてこれらのミニゲームは通信を介しての「ゲームシェアリング」に対応しており、ソフトを持っていない友達と一緒に遊べるのです。(ミニゲームの対戦のみ)完全にちょっとしたミニゲーム集になっている本作ですがまだ終わりません!次項にて!
マジかよ!ターン制陣取りゲーム!
出ました、ここにきてまさかのボードゲームです(笑) もう完全に別ゲーになっちゃっていますが、これがまた面白いんです!あまりボードゲームは詳しくないのですが、いわゆる陣取りゲームとなっており、本編に出てくる5つのギャングを相手にロンドンの陣地を取り合って行きます。
最初はそれぞれの拠点からスタートし、隣接している地域に兵隊を送り込んで占領していきます。空いている地域はそのまま占領できますが、敵が支配している陣地だと戦闘となり送り込んだ兵隊の数で勝敗が決まってきます。
兵隊はターン毎にお金を使って買うことができ、雇った兵隊は拠点に補充されるので、そこから隣から隣へと移していって兵隊を張り巡らせて行くのです。
また、戦闘を有利にするには「特殊効果カード」の使用も欠かせません。敵の弱体化や自分の陣地への援軍などの効果があり、兵隊と一緒に購入することが可能です。
こうしてどんどん陣地を広げていき、ルールによって変わってきますが最終的にマップに6箇所ある拠点のうち4つ以上を獲得すると勝ちとなります。特に戦闘シーンとかもなく淡々と進んでいくのがちょっと虚しいですが、本作はチープゲーム集なので問題ありません(笑)エンジョイしましょう。
本編はオマケだ!
箱庭ゲーム改め、チープゲーム集である「Gangs of London」。
かなりしょっぱいストーリーモードとは対照的に、意欲的なサブモードの数々は掘り出し物もあったりとなかなかのポテンシャルを誇っており、シュールなゲームが好きなら意外と楽しめる代物なのではないでしょうか?
これで本編が面白かったらヒットしていたのかもしれませんが、個人的にはゾンビモードをもっと作りこんで「Zombies of London」で発売してほしかったですね。それ位ゾンビモードは衝撃でした(チープという意味で!) 機会があれば是非プレイしてみてほしいのですが、高いプライスには全く見合わない商品なので数百円で見つけてください(笑)以上。