2003 / Gatgering / illusion softworks / XB PS PC
北米版Xboxソフト「Mafia: The City of Lost Heaven」を紹介
1930年代のアメリカを舞台にしたノワール感満載のクライムアクション。
発売は2003年と結構古く、表現はかなりチープですが、当時の街の雰囲気はなかなか良く出来ておりイイ感じです。
アメリカン・ギャングスタ
禁酒法時代下におけるアメリカの架空の都市「ロスト・ヘヴン」
プレイヤーはこの街のマフィア「サリエリファミリー」の新顔「トミー・アンジェロ」として、数々のミッションをこなしていく全22チャプターの一大巨編!
映画などでは度々取り上げられるこの時代、映像作品は数あれどあまりゲーム化はされておらず、当時の街並みなどをここまで再現した(と、言っても架空の街ですが)ゲームは本作が初めてなのではないでしょうか。
本作は「GTAⅢ」の流れを汲むオープンワールド形式のゲームで、随所に影響が伺えます。
渋すぎる重厚なストーリー
物語はトミーによって語られる回想録。
テーブルで話し合う2人の男、一人は刑事、そしてもう一人は主人公トミー・アンジェロ。トミーは自らが身をおいていたサリエリファミリーの「ドン・サリエリ」の情報を話す代わりに、自分と家族を保護して欲しいと取引を持ちかける。
こうして、トミーがマフィアになる経緯から語り始め、ゲームがスタートするのです。
豊富なムービーシーンで語られるのですが、特筆すべきはその”ポリゴン俳優による演技”です。
グラフィックは荒いものの顔の表情や仕草は豊かで、映画のようなムービーシーンは逸品。意外と複雑なストーリーは徐々に徐々に盛り上がっていき、ミッションの内容もスケールが大きくなっていきます。
本作はPC版以外では英語版しかないのですが、攻略やストーリーの訳が載っている日本のサイトも存在するので、細かいニュアンス等は分からなくとも楽しめると思います。
アット・サリエリズ・バー
ここからはシステム等を解説していきます。
ゲームは大きく分けて移動パートと戦闘パートの2つに分けられます。
ボスからのミッションを受けて自分で現地まで移動し、仕事を片付け自力でアジトとなる”サリエリのバーまで帰ってくる”というのが基本的な流れ。いくら敵に追われていようが、アジトに帰ればオールオッケーってなところがおもしろいです。ボス…怖いですからね…。
ミッション開始前のアジトでは、仕事によって車や武器を用意してもらうことができ、ゲームを進めていくごとに選べる車の種類が増えていきます。
珍しいシステムだと思ったのが、新しい車を用意してもらう度にその車の”カギの開け方”を伝授され、以後、その車種の車を盗めるようになるというシステム。
(まぁ、走行中の車なら運転手を引きずり出して盗めますが…笑)
ザ・シティ・オブ・ロスト・ヘヴン
そして、ミッションの約半分を占めるのがこの移動パート。
当時のノスタルジックな車に乗り込み、ダウンタウンやホーボーケン地区、工業地帯、そして郊外のモーテルなど右へ左へドライブしまくります。車の種類は50種類オーバーとかなり豊富で、入手した車をコレクションすることも出来ます。
車の性能はピンキリで、使える車と使えない車がはっきり分かれており、カーチェイスなどのミッションでは速い車を用意する準備が必要。とりあえずレアな車ほど性能は高い。
また、街では路面電車が走っているのですが、これ、単なるオブジェクトではなく乗れるんです。最初、「どうせ見かけだけのオブジェクトなんだろ!俺はだまされないぞ!」と思っていたので、乗れたときの衝撃は凄まじかったです!…まぁ乗るときかなりの確率で轢かれるし(笑)特に使用するメリットもないですが箱庭ゲームだとこういうのって大事だと思います!ええ!
エンジョイ・モア・クライムライフ
本作で重要になってくるのがずばり”犯罪行為”
違反行為を発見されると警察が追いかけてくるのですが、本作ではここらへんの線引きがかなり細かく決められてます。ただ、基本的には見られなければ大丈夫。
見つかってしまった場合、スピード違反、信号無視、器物破損等の軽犯罪なら違反切符を切られるだけで済みますが、窃盗や暴力なら逮捕され、殺人を犯してしまうと銃殺されてしまいます。
GTAシリーズと違うのが、軽犯罪程度なら逆に警察に捕まってしまったほうが良いというゲームシステム。軽犯罪でも逃げ回るとタチが悪いとみなされて逮捕の対象になってしまい、ミッション中なら逮捕=ミッション失敗なので絶対避けなければなりません。
軽犯罪だと切符を切られるのですがタイムロス以外のペナルティは無く、スピード違反などで見つかってしまったら、素直に車を停めて穏便に済ますほうが効率がいいのです。
アメ車ドロボー!
基本的にはメインミッションを進めていくことになるのですが、あるミッションで「ルーカス」という男と仕事をします。それ以降、時々彼から高級車を盗む仕事を貰えるようになります。サブクエスト扱いなので面倒ならこなさなくてもいいのですが、入手できる車はどれも高性能で使える車ばかりなので余裕があればこなしておきましょう。
また、本作では「レーシング」、「フリーライド」といったモードが用意されており、入手した車はこれらのモードで使用できるようになります。普通にコレクションとして眺められるモードもあり、ノスタルジックな車の数々は眺めているだけでも楽しいです。
カッコイイ車から、冗談みたいな”ネタ車”もでてくるフリーライドモードはかなりオススメで、個人的にはバットモービルもどき(笑)のタクシーが最高。
派手さは無いがいい感じ!
最初は荷物運びなどケチな仕事ばかりなのですが、ゲームを進めていくと変装して船に乗り込んでの暗殺や、豪邸に忍び込んでのスニーキングミッション、そしてマフィア同士の取引きなどかなり豊富なミッションが用意されています。
おおよそ、この時代のマフィアのやる悪事は網羅してるのではないでしょうか。
もちろんマフィア同士のドンパチ…もあるのですが、基本的にはしゃがんで地味~に撃ち合う感じなので派手な感じではないです(笑)ミッションによっては仲間を引き連れての戦闘もありますが、総じて地味な戦闘は少し残念です…。
ちなみに時間の変更はリアルタイムではなく、物語の進行に合わせて変化する模様です。
システム周りも丁寧
後半になるにつれての物語も見もので、表社会の人間だったトミーが冷酷な裏社会で悪に染まっていくが、心の底はまだ染まりきっておらず戸惑うトミーの姿が描かれます。
ゲーム自体も終盤になってくると難易度が上がり、やることも多くなってきますがクリアできなくも無い絶妙な難易度で、リトライに関してもオートセーブ機能が付いており、こまめに区切られているので安心。丁寧な作りには好感が持てます。
(ただ、中には武器の準備不足などで難易度が跳ね上がる面もあります…あしからず)
マップもそこまで広くなく、ある程度プレイすれば主要ルートは大体覚えるのでスマートなプレイが可能です。移動は多いものの、ロケーションもそれなりに多くマンネリにならないように工夫されている印象を受けました。ホテルや船上は雰囲気が素晴らしいです。
類似点は多いものの…
2003年、「GTAⅢ」の少し後に発売された本作、確かに影響は受けていますが、それらは土台だけでありゲームのコンセプトは結構違ったりもします。
GTAだとミッション、サブミッションは好きなときに開始できますが、ストーリーがメインな本作はミッション間のインターバルはなく、あくまでストーリーの一部として街に出るというスタイル。(クリア済みのミッションはタイトルメニューよりいつでもプレイできます)
今プレイすると結構古臭い感じもしますが、グラフィックの質感と相まって全体から伝わる雰囲気はこの時代のゲームならではでいい感じです。国内の本体では起動できず、家庭用は結構敷居が高いですが、PC版だと日本語化できるので今一度プレイしてみるのも良いかもしれませんね。