2004 / Dream Catcher / People Can Fly / XB PC
北米版XBOXソフト「Painkiller: Hell Wars」を紹介!
「俺を天国に行かせやがれ!」交通事故によって死んでしまった主人公が己の天国行きを賭けて魔王に戦いを挑むジャスト・ライク・ヘヴン・シューティングゲーム!
開発は現「EPIC GAMES POLAND」の「People Can Fly」というスタジオで、後に「Gears of War」シリーズを手がけることになる精鋭集団渾身の一作だ!
ここは天国ですか? いいえ、地獄です。
不運にも妻と共に交通事故で死んでしまった男「ダニエル・ガーナー」、妻は天国へと召されたのだが、ダニエルはそうはいかなかった。現世とあの世の境目「煉獄」でうろたえる彼に天使が現れ「妻の下へ行きたいのなら魔王ルシファーを倒してきなさい」と条件を出す。
「何故俺がこんなことを…」と疑問に思うもやるしかない。
こうして地獄を舞台に不運な男ダニエルの戦いが始まるのであった……。
基本的に一本道を進み、全ての敵を倒すと道が開けるというオールドスクールスタイルのFPSで、全5チャプターの様々な時代のステージを戦っていきます。本作はオーソドックスなだけではなく、タロットカードによる強化システムやバーサークモードの搭載など、現代風の味付けがなされており古臭さをあまり感じさせません。以下解説していきます。
B級ホラーテイスト最高!
ゲーム中に出てくるステージは「市街」や「精神病棟」、「軍事基地」など現代風の場所もあれば、「洋館」や「大聖堂」、「オペラハウス」など中世ヨーロッパ風とでも言うような場所が登場し、チャプター毎に全く違う雰囲気が味わえるのが特徴。もちろん登場する敵も場所それぞれで、バラエティに富んだゲームプレイが楽しめます。
中でも完全にホーンテッドハウスな洋館のステージはかなり雰囲気が出ていて、動くあやつり人形やゴス少女なんかが登場し、しかも大量に襲ってくるというB級ホラー仕様!炎に包まれたゴス少女をショットガンで粉砕した後はなんともいえない気分になること間違いなし!(笑)
まぁそんな時は大聖堂に行って懺悔プレイも出来るという本作の業は深い!意味不明!
超迫力ビッグボス戦!
本作において恐らく一番の盛り上がりを見せるであろうボス戦。5つのチャプター毎のラストステージにはボス戦が待ち受けており、毎回超巨大なモンスターと戦うことになります。
見上げるほどもあるボス戦はまさに圧巻!のデカさで映画とかでよくある「巨大な足に踏み潰される~逃げろ~」的なシチュエーションも体験できます(笑)戦闘も見た目通り大味でひたすらヒット&ランで何とかなるのですが、中には手順を踏まないと倒せないボスもおり一筋縄ではいきません。
そしてボス戦やピンチの時に頼りになるのが「タロットカード」による特殊効果です。
このタロットカードは2種類存在し、装備しているだけで体力強化スタートや初期装弾数アップなどの効果をもたらす「シルバーカード」と、発動時に攻撃力2倍やノーダメージなど、一定時間だけ効果を発揮する「ゴールドカード」があります。
全24種類存在するこれらのカードを入手するには、ステージ毎に課せられた「シークレットを全部発見せよ」等のタスクをクリアし無くてはならず難しいというか、かなりめんどくさい。全部集めるとなると大変な作業となるのでヤバイです。自分は7枚程度で挫折しました(笑)
タロットの使用は1ステージ1回までなので、ここぞという時の切り札にとっておきましょう。
ゴリゴリのゴア表現
本作の戦闘では、騎士でも魔女でもバイカー野郎でもなんでもミンチにすることができ、ゲーム中は手足や触手や胴体が飛び交う、まさにHELLなプレイ画面となり最高です。
このスプラッター表現で少し驚いたのが、肉塊の重量感。たいていのゲームでは、敵キャラの重量感はあまり感じられないのですが、本作ではショットガンでブッ放した瞬間「ゴフゥッ!」と重量感のある音を立てて砕け散るのです。やはり散弾銃はこうでなくてはなりません。
独自のエンジンを使用しているからなのか、最近のゲームとは違った毛色の感触はなかなか新鮮でいい感じでした。とはいえリアルさからはかけ離れているので、変に生々しい印象はまったく無いです!あくまでB級テイスト!LOVEチープスプラッター!
ミュージックもゴリゴリだ!
戦闘中はメタリックなギターが印象的なハードな曲が流れ、戦闘を盛り上げてくれます。
普段は大聖堂なんかをイメージさせる神秘的なBGMなのですが、敵のラッシュになると一変。
ディストーションが効いたギターがギューンと鳴り響き、そこが教会だろうが沼地だろうがおかまいなしに、一気にB級ホラー映画の1シーンと化します(笑)
そして敵を全滅させ次のステージへ続く扉が開くと、今度は大音量で宗教的な賛美歌が流れてくるというカオティックな演出も完備! これが聞こえるとクリアの合図なので、盛り上げる以外にもBGMが効果的に使われており、関心です。
そういや「Gears of War」もBGMがかなり効果的に使われていましたね。なるほどと納得。
取って付けた感は拭えない…!
中世や現代等様々な時代やシチュエーションが登場する本作ですが、言い換えればちぐはぐで何の繋がりもない独立した世界観のステージの数々。実は本作は元々別のスタジオで「悪魔ハンター物のFPS」として開発されていた作品なのですが、資金難で開発が難航、そこで開発を受け継いだのが「People Can Fly」スタジオなのです。
FPSの基本部分はそのままに、ストーリー部分のムービーだけを付け足した形で発売されたので、なんともちぐはぐな印象となってしまったのです。といってもムービーシーンは特に重要ではなく、見所は”ブッサイクなゴブリン位しかない”ので問題ありません。ステージも毎回新鮮な雰囲気なので、これはこれで全然アリでしょう。
しかし、残念なのがPC版との違いです。先に発売されたPC版よりもかなりステージが少なく、モンスターも削られてしまっているのです。難易度やシークレットの攻略法も違うので、PC版が出来る環境ならそちらをオススメします。(Steamでも販売しています!)
DOOM進化系シューティング
最近ではなかなか見かけなくなったこの系統のシューティングゲーム。
大味な感は否めませんが、グロテスクな敵、バイオレンスな表現、巨大なボスとの戦闘など、オールドスクールなテイストはDOOM系FPSの正統な進化を感じさせます。タロットカードや特殊な武器の数々は古いだけでは終わらず、この系譜の新たな可能性を示していると思います。
しかしながら残念なことに、国内のXBOXでは動作せず、プレイするには北米版本体が必要となりますが、実は2013年に本作のリメイクである「Painkiller: Hell & Damnation」が360・PS3で発売されたので(しかも国内版!)気になる方はそちらをおススメいたします。以上。